シニア世代の就業・生活スタイルの動向
◆調査の概要
(株)野村総合研究所のグループ会社であるNRI社会情報システム(株)が、全国の55~79歳の2,000人を対象に、シニア世代の就業状況や働く意識、ライフ スタイルや価値観などについてインターネット・アンケート調査を行い、その結果が公表されています。その調査結果において注目すべき内容を取り上げてまとめます。
◆就業実態
最も特徴的な点として、64歳までの男性の正社員の割合は50%以上を占めるのに対し、65歳以上になると正社員で働く割合が20%を切ることがあげられます。また、女性の場合でも、64歳までの正社員割合が、65歳以降では3分の1程度に減少しています。
◆今後の就業意識
現在就業中の65歳未満のシニア世代に何歳まで働きたいかとの質問では、現在正社員の方もパート・嘱託の方も平均して70歳頃まで働きたいと回答しています。60歳未満の正社員に将来の働き方を尋ねると、約7割が60歳代前半までは正社員で、65歳を超えたらパートや嘱託など非正規での就業を望み、70歳以降はシルバー人材センターなどの臨時・短期の仕事や、インターネット上で受注する仕事などを求める割合が増える傾向にあるようです。
◆生活満足度
50歳代後半と60歳代後半の生活満足度を比較すると、就業状況以外のすべての項目で年齢とともに満足度が高くなる傾向がわかります。特に、家族や友人などの人間関係や趣味・娯楽、地域との関係などの満足度の上昇が目立ちます。また、シニア世代が活用するSNSの中でもLINEが最も多く、ユーザーは非ユーザーに比べて満足度が高く、ICTを活用するシニア世代はコミュニケーションや情報収集の活発化を通して満足度が高い傾向があるようです。
65歳までの定年延長・再雇用は定着しつつありますが、それ以降の就業状況の満足度が低いことから、60歳代後半世代は満足する就業の場を得られていないことが推測されます。自分に合った多様な働き方を求めるシニア世代と、戦力を求める企業との間に温度差があることは否めませんが、この調査結果は企業のシニア活用を進めるうえで参考の一つとなり得るでしょう。
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